カウンセリング・大阪・兵庫:尼崎のカウンセリングルーム:オフィス松浦です

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鬱(うつ)のカウンセリング

躁(そう)の時代から鬱(うつ)の時代へ
第2次世界大戦後の高度経済成長から、バブル経済まで、日本は、躁(そう)の時代でありました。そして現在、鬱(うつ)の時代に入った、と五木寛之氏は、述べています。高度経済成長から、バブル経済までの、登山にたとえれば、まわりに、目もくれず、必死に山を登ることに集中する、山登りの時代は、終わり、これからは、ゆっくり風景や足下に咲く花を眺めながら、山を降りる、下山の時代だと論じています。そして、鬱(うつ)の時代には、鬱(うつ)の思想が必要だと論じています。躁(そう)の思想が、大きいことや早いことを希求する思想であるとすれば、鬱(うつ)の思想は、小さいことやゆっくりであることを味わい、大切にし、かみしめていく思想ではないでしょうか。鬱(うつ)の思想は、スモールとスローが、キーワードになるでしょう。つまり、日常生活の細部を、ゆっくり、深く、味わい、大切にし、かみしめるような在り方が、鬱(うつ)の時代の生き方ではないでしょうか。アメリカの心理学者、ジェイムズ・ヒルマンは、鬱(うつ)を、人間が、たましいの深みへと下降していくための、重要な機会ととらえています。すなわち、鬱(うつ)は、人生を深く味わうチャンスであるのです。ですが、これは、案外、難しく、鬱(うつ)をかみしめる力が必要です。その力がないと、大きなことを求めたり、急いだり、焦ったりして、鬱(うつ)から逃げようとする躁的防衛に陥ってしまい、たましいの深みを味わうチャンスを逃してしまいます。鬱(うつ)の時代であればこそ、たましいの深みへと下降し、人生を深く、味わいたいものです。

鬱(うつ)について
現代日本では、うつ病人口100万人と言われています。うつ病は、「こころの風邪」と言われるように、誰にでも、起こりうるのです。うつ病になると、自分を責めたり、自分を否定する気持ちがおこってきます。このような自責感・自己否定感がひどくなると、自殺にいたる場合があります。現代日本では、毎年3万人以上の自殺者が出ていますが、原因が特定できた中では、うつ病が、もっとも多いのです。うつ病は、第三者からはわかりにくく、場合によっては、家族ですら気づかないこともあり、ときに怠けと思われようなことがありますけれども、深刻な病いなのです。それでは、うつ病とは、一体、どのような病いなのでしょうか。うつ病の兆候として、「毎朝かかさず読んでいた新聞を読む気がしない」、「朝、気分が重く、仕事に行く気力が出ない」、「夜中になんども、目が覚め、早朝には、もう目がさえてしまう」といった症状があります。朝、気分が重く、夕方ぐらいになると、元気になるという現象を、日内変動と言いますが、睡眠障害とならんで、うつ病の特徴です。さらに、頭痛、口渇などの身体症状が出ることも、しばしば、あります。鬱(うつ)のクライアントは、「気分が落ち込む」、「後悔ばかりしてしまう」、「自分を責めてしまう」、「涙ぐむことが多くなった」などといった、ゆううつ感、「不安で、落ち着かず、じっとしていられない」、「何をするにも自信がない」などといった不安感、「仕事にとりかかる気になかなかならない」、「何をしても面白いと感じない」などといったおっくう感を、主訴として、語られます。うつ病は、外因性、内因性、心因性の三つに大きく分けられます。外因性とは、脳や身体が原因となっているものです。たとえば、微細な脳梗塞が原因で、鬱(うつ)になる場合があります。内因性とは、脳や身体に異常がなく、次に挙げる心因性のように、こころの悩み・葛藤もないのに、ひとりでにおこるものです。最後に、心因性とは、たとえば、家族や恋人を亡くすといった喪失体験、職場での対人関係の悩みなど、あきらかに、こころの悩みが原因になっているものです。カウンセリングでは、おもに、この心因性の方々を対象にしていますが、内因性の方々でも、投薬治療を嫌い、カウンセリングを選択される事例は、多いです。鬱(うつ)については、フロイト以来、百年におよぶカウンセリングの歴史があります。鬱(うつ)に悩む方々に対するカウンセリングの実際については、稿を改めますが、とくに、職場でのストレスの多い中で、元気に振る舞わなければならない会社員で、うつ病に、苦しむ方々が、年々、増加しています。

鬱(うつ)のカウンセリング(1)
カウンセリングでは、医師による短時間の診察とくらべて、初回90分、二回目以降50分と、しっかり、時間の枠を取っているので、クライアントにとっては、鬱(うつ)にまつわる悩み、苦しみを話し、吐き出す、濃密で、貴重な時空間となります。カウンセラーは、クライアントの身になって、話をしっかりと傾聴し、共感しながら理解しますから、身近な人にも、話すことができなかったり、共感してもらえなかったりする話を、「ああ、よく話を聴いてもらったなあ」と感じることができます。もともと、他人と円満な関係を維持してこられた方(うつ病になられるのは、こういった方が多いのです)でも、うつ病になると、どうしても、孤独になりやすいです。とくに、うつ病になると、孤独は耐え難いものであり、症状を悪化させることもあります。週に一回なり、二週間に一回なり、カウンセラーに、話をしに行くことは、じゅうぶんな治療的効果があります。カウンセラー、とくに、臨床心理士は、クライアントの人生の同行者になる覚悟で仕事をしています。

鬱(うつ)のカウンセリング(2)
鬱(うつ)のカウンセリングでは、認知行動療法が、よく用いられています。認知行動療法とは、シンプルに言うと、クライアントの話を聴いていき、クライアントの認知を、質問を交えながら、修正に導いていく技法です。かんたんな例を出しますと、知人を街で見かけたとき、挨拶をしたけれども、その知人は、挨拶を返さなかった、ということを悲観している、うつ病のクライアントがいたとします。うつ病になると、なにごとも、悲観的になりますから、「悲しい」という気分になり、「彼に嫌われたのではないか」という認知、すなわち考え方になったりします。実際は、その知人は、たんに、急いでいて、クライアントに気づかなかっただけというようなことが、事実である場合が多いのです。このような、うつ病のクライアントの悲観的になりがちな認知、考え方に、介入し、修正する技法を、認知行動療法と言います。私は、クライアントの話を聴いていて、自然に、認知行動療法的アプローチをしていることがあります。上記のたとえ話で、私なら、「うーん、彼は、急いでいて、あなたに気づかなかったのではないでしょうか?」と、言います。認知行動療法について、もっと、シンプルなたとえ話をすれば、ペットボトルに、半分のお茶が残っているとき、「ああ、もう、半分しかない。」と感じ、考えるのか、「ああ、まだ、半分も残っている。」と感じ、考えるのか、といったことです。カウンセラーは、後者の方向に、うつ病のクライアントを、おのずと導くことを、、自然にやっています。認知が悲観的になればなるほど、症状は悪化しますので、その悪循環を断ち切るのが、認知行動療法であるのです。

鬱(うつ)のカウンセリング(3)
第5回日本うつ病学会総会講演での、神田橋條治氏の議論は、あまたある、うつ病の治療論の中で、傑出していました。河合隼雄先生が、晩年、焦点を当てた、物語という視点を、引き継いでおられるように感じました。クライアントの本来あった資質を引き出し、さらに社会にもつながる物語を、一緒につくり、生きていくことによって、クライアントが、自責感や自己否定感ではなく、生きている値打ちや、生き甲斐をもち、回復し、治っていく、再生していくという、議論です。五木寛之氏は、「あきらめる」とは、明らかに究めることであると言っています。うつ病のクライアントが、文字通り、諦めるのではなく、もういちど、じぶんの人生を、明らかに究めることの、同行者になることが、カウンセラーの仕事なのです。人生は深い、たましいは深いと思います。もういちど、人生の深み、たましいの深みを、明らかに究めるプロセスの同行者になることこそが、臨床心理士であるカウンセラーの仕事であると思います。


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